新型コロナワクチンに関する陰謀論で騒いだ人は、日本でも世界でも多かったようです。
新聞や雑誌でも「家族がはまってしまい苦労した」なんて記事がいくつもありました。
それを受けて、「人は何故陰謀論を信じるのか」「陰謀論を信じやすい人はどんな人なのか」についての研究報告が激増しています。私も、いくつか読んでみましたが、多少盛りながら、紹介したいと思います。
周りに陰謀論を振りかざしている人がいたら、当てはまるか考えてみると面白いかも。
怒りっぽい人は陰謀論を信じる可能性が高い
Trait anger and approach motivation are related to higher endorsement of specific and generic conspiracy beliefs
同様の研究として
Emotion dysregulation and belief in conspiracy theories
このように性格と陰謀論を信じることには関係があるようです。
パーソナリティ障害との関係もたくさん報告されていますが、どんなパーソナリティ障害が関係するのか決定的なものはないようです。たとえば、サイコパス(反社会性パーソナリティ障害)と陰謀論は関係あるというものとないというものがあります。
が、何らかの関係はありそうです。
陰謀論を信じている人は、基本的に他人を信じていない人である
Don't trust anybody: Conspiracy mentality and the detection of facial trustworthiness cues
陰謀論を支持する人は、不安が強く、曖昧さへの耐性が低い
反対に
新型コロナの陰謀論者は異性にモテて来なかった。
でも、恋愛でロマンチックなことを経験したら、陰謀論を信じる可能性が低くなる
アポフェニアになりやすい人は、新型コロナ関連の陰謀論や超常現象を信じる可能性が高い
アポフェニア(英: apophenia)は、無作為あるいは無意味な情報の中から、規則性や関連性を見出す知覚作用のことです。
例えば、月の模様がウサギに見えたり、雲が人の顔に見えたりすること。
Illusory perception of visual patterns in pure noise is associated with COVID-19 conspiracy beliefs
科学的思考の出来る人は、陰謀論と縁遠くなるようです。
科学的推論を学ぶと陰謀論を信じにくくなる
The effectiveness of a scientific reasoning intervention for conspiracy theory beliefs
反対に
陰謀論を信じている人は批判的思考(クリティカル・シンキング)能力が低い
というのもあるし、
推論能力が「ない」のに自分には「ある」と思っている人、科学へ不信を持っている人が、新型コロナウイルス感染症の陰謀論を信じている
というのもあります。
政治信条では
陰謀論を信じやすい人は、極端な政治的志向性(つまり極右か極左)がある
Conspiracy mentality and political orientation across 26 countries
また、経済格差があり、汚職など腐敗の多い社会の人ほど陰謀論を信じやすいようです。
腐敗した環境で生活すると、政治に関係なく陰謀論を信じやすくなる
陰謀論を信じている人が増えているのは、経済的不平等が広がっている社会と関連している
The impact of economic inequality on conspiracy beliefs
また、こんなのもあります。
職場でいじめられている人は陰謀論にのめり込みやすい
Bullying and conspiracy theories: Experiences of workplace bullying and the tendency to engage in conspiracy theorizing.
もちろん、以上はあくまで傾向としての話です。
「陰謀論とニセ科学 あなたもだまされている」 左巻健男:著 という本を読んでいますが、
このなかに東大の理系の学生(2015年時)でも、アポロ月着陸陰謀論(アポロは月に行っていない)を信じている人が多数派だったという話があります。テレビで見て信じてしまったようです。テレビの罪は重いですね。
このように誰でも騙されやすいことは、よく肝に銘じておいた方が良いようです。