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1.悪逆(黒川博行)
ちょうどこの本を読んでいる時に、作品が第58回吉川英治文学賞を受賞したというニュースが流れました(2024年3月5日)。
吉川英治文学賞は、大衆小説を対象とした権威ある賞で、過去の受賞者には、松本清張、司馬遼太郎、池波正太郎、宮部みゆき、浅田次郎等々すごい顔ぶれが並んでいます。
さて、本の内容ですが、
周到な準備と計画によって強盗殺人を遂行していく男――。大阪府警捜査一課の舘野と箕面北署のベテラン刑事・玉川が、広告代理店の元経営者殺害事件を追うなか、さらに被害者と面識のある男が殺される。二人はそれぞれ「士業詐欺」と「マルチ商法」によって莫大な金を荒稼ぎした悪党で、情報屋の標的になっていた。警察は犯行手口の違いから同一犯による可能性はないと判断するが、いずれも初動捜査で手詰まりとなる。犯人像を?むことができないまま、さらには戦時中に麻薬密売組織に関わり、政治家とも昵懇だった新興宗教の宗務総長が殺害される。警察の動きを攪乱しながら凶行を続ける男の目的はどこにあるのか? 舘野と玉川は、凶悪な知能犯による完全犯罪を突き崩すことができるのか?
上にある「士業詐欺」というのは、過払い金返還の大量にCMを流していた 東京ミネルヴァ法律事務所がモデルと思われます。
東京ミネルヴァ法律事務所は客の金(その額25億円)を勝手に広告費に流用していたのですが、金が流れていた先の広告代理店の主が、実質東京ミネルヴァを支配しており事件の黒幕だったKという人物だったということです。
Kは、過払い金訴訟で潰れた武富士の札幌支店長でした。
現実には被害者に補償もせず(この件では)逮捕もされず、のうのうと生き延びている極悪人が、この小説の中では天誅を下されます。
他の殺された詐欺師も同様で、殺す側の犯人に肩入れしたくなります。
が、軽妙なやりとりをしながら、地道に捜査していく刑事コンビはもっと魅力的です。2人の活躍で、ほぼ完全犯罪に見えた一連の犯行が、蟻の一穴から明らかになっていきます。
2.嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか(鈴木忠平)
別途記事にしています
3.文豪、社長になる (門井慶喜)
文藝春秋社創立100周年に合わせて書かれた、菊池寛の史実に基づいたフィクション小説です。
Amazonに菊池寛の子孫という人がレビューを書いています。
菊池寛は酒が飲めなかったと言って「史実に基づいたフィクション」はどこまで事実かと疑問を呈しています。
私も向田邦子との出会いはおそらくフィクションだと思います。
が、意外にも菊池寛と向田邦子が同じ小学校(高松市四番丁小学校)の同窓だったので、あっても不思議ではない話でした。
こういうフィクションはあっても良いかなと思いました。
4.平岩弓枝 「御宿かわせみ」の世界(文春ムック)
オーディブルで「御宿かわせみ」をいくつか聞きましたが、登場人物の人間関係がよくわかりませんでした。そんな折にちょうどこのムックが発売されていましたので、読んでみました。
5.眠れない日にふとんの中でできる 快眠1分マッサージ
別途記事にしています。
オーディブルで聞いた本
- 御宿かわせみ 「お吉の茶碗」「北前船から来た男」「神明ノ原の血闘」「薬研堀の猫」「白萩屋敷の月」「祝言」(平岩弓枝)
- 真説宮本武蔵(司馬遼太郎)
- 嫌われた監督(鈴木忠平)
- 人生の道しるべになる座右の寓話(戸田智弘)
- 密封 奥右筆秘帳(上田秀人)
- この素晴らしき世界(東野幸治)
- 手ぶらで生きる 見栄と財布を捨てて自由になる50の方法(ミニマリストしぶ)
- 世界の頭のいい人がやっていることを1冊にまとめてみた(中野信子)
- 器量のぞみ(宮部みゆき)
- 青春の門 自立篇(五木寛之)
「青春の門 自立篇」は、45年ほど前に読みました。映画も、田中健版と佐藤浩市版両方見たこともあって、不思議なくらい細部まで覚えていました。
当時五木寛之は文章がヘタという評があって私にはよくわからなかったのですが、いま朗読で聞くと、たしかに上手くはありませんね。