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1.小説兜町(清水一行)
以前紹介した経済小説の大家・清水一行の伝記ノベル「兜町(しま)の男」(黒木亮)の関連で、昭和41年にベストセラーになったデビュー作「小説兜町」を読みました。
魚のブローカーから一転して興業証券へ再入社する。37歳の山鹿悌司の転身は、「兜町最後の相場師」へのスタートとなった。入社から2年後、株式市況の悪いなか、新設された投資信託販売特別班長の1人に山鹿は抜擢された。まったくの素人にもかかわらず、独自の発想と勘で金融機関から大口の注文を集めた山鹿は、たちまち兜町で頭角をあらわしていく――。相場を生き抜いた男の、波乱万丈の半生を描いた経済小説の金字塔!
山鹿悌司(日興証券 営業部長だった斎藤博司氏がモデル)が、最後の相場師として、兜町を騒がす存在になっていきますが、岩戸景気の終焉と共に凋落する様子を描いています。
詳しくは、複数の方が素晴らしい詳細な紹介記事を書かれていますのでここでは割愛します。
感想
メインの話とは関係ありませんが、スートリーのウラに見えることは、一般の投資家を食い物にしようとする考えが株屋連中のベースにあることです。
戦後、大衆が株式の世界に足を踏み入れたましたが、彼らの乏しい財産は吸い上げられるようになっていました。
なかでも
投資信託はゴミ
です。
運用会社は、集まったお金を自分たちの欲のために都合の良いように使っています。けして少しでも多く投資家に還元するためではありません。
もちろん今ではあまり無法なことはできなくなっていますが、それでも株屋や銀行屋の「お客様のためではなく、自分や会社が儲かるため」というメンタリティはあまり変わっていないと思います。
新NISA と株高で盛り上がっていますが、投資は慎重にとあらためて思った次第です。
2.鷹の惑い(堂場瞬一)
2023年7月に発行された小説です。
極左暴力集団なんて小説に登場させても、今の時代、興味を惹かないと思うのですが、偶然にもその後、極左爆弾犯の桐島聡が見つかったことに作者のプロとしての勘を感じて手に取った本です。
世の中は変わる。変わる世の中に対応するのが、警察の仕事だ。
21世紀に沸く平成日本。海外逃亡していたはずの極左の最高幹部が突然仙台に現れ、公安に衝撃が走った。
身柄の移送を担当した公安一課の海老沢は、警察官人生最大の痛恨の失敗を犯す。
一方、捜査一課の高峰は目黒の空き家で殺害された元代議士秘書の身辺を探る。被害者の経歴には6年間の不自然な空白があった。
新聞記者からの思わぬ情報。死の床にある元刑事の父の言葉。そして海老沢に下った極秘の特命捜査ーー事件の様相は一変する。公安一課と捜査一課。父の系譜をたどる息子たち。警察小説の騎手による大河シリーズ「日本の警察」平成ミレニアム編!
ストーリーが絵空事すぎるという批判はあるようですが、TVドラマの「相棒」よりはマシでして、それなりに楽しく読めました。
3.ハヤブサ消防団(池井戸潤)
2023年テレビドラマ化されていますので、ご存知の方も多いかと思います。
ミステリーとして読むとどうかと思う点はありますが、田舎での暮らしぶりや消防団の活動などの描写が楽しかったです。
東京から父の郷里・ハヤブサ地区に移住した売れない作家の三馬太郎。 田舎暮らしを楽しむはずが、地元の消防団入りした彼を待ち受けていたのは連続放火事件だった。 息もつかせぬ展開の、池井戸潤まさかの“田園”ミステリ!?
オーディオブックと並行して読んでみました。そのためだいぶゆっくり読みましたが、ふだんなら読み飛ばしてしまう場面が、感慨深く感じられました。
4.今日からはじめるコロナワクチン解毒17の方法
別記事で紹介しています。
オーディオブック(Amazon オーディブル)で聞いたもの
読了したもの
- ハヤブサ消防団(池井戸潤)16時間弱は長かった!
- おお、大砲(司馬遼太郎)
- 天明の絵師(司馬遼太郎)
- アームストロング砲(司馬遼太郎)
- 桜田門外の変(司馬遼太郎)
- 逃げの小五郎(司馬遼太郎)
- 仕掛人 藤枝梅安より おんなごろし 殺しの四人(池波正太郎)
- 大師匠を語る-橘家圓蔵が語る 八代目・桂文楽
他に毎日数話ずつ読んでいるもの
- 1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365(デイヴィッド・S・キダー ほか)
- 本のお口よごしですが 完全収録版(出久根達郎)
大師匠を語る-橘家圓蔵が語る 八代目・桂文楽
五代目・志ん生と双璧とされる昭和の名人 八代目・桂文楽 については、話ももちろん上手かったが、人格者というのが私の印象でした。
たとえば、戦後爆笑王として大人気になった 三代目 三遊亭歌笑との話です。歌笑の人気は凄まじく、日劇公演の際に大行列を作った(同じことができたのは美空ひばりだけ!)そうですが、その芸と容貌から主流の古典派(彦六の林家正蔵など)からは蔑まれ、寄席の楽屋では居場所はありませんでした。そんな 歌笑に対して、「今の落語界はお前さんでもっているんだから、真ん中に来なさい」と優しい言葉をかけたのが名人文楽だったそうです。
たしか「昭和の爆笑王三遊亭歌笑 (岡本和明:著)」より
しかし、孫弟子の橘家圓蔵(古い人には月の家圓鏡の方が有名)が語る桂文楽は、全く違って人間的です。裏表があって、助平だし、ふつうの人間です。