還暦過ぎても

還暦過ぎても、心は少年のまま…

改悪では? 「地を這う虫」(高村薫)改訂の前と後を比べて

4月からの新年度になって、ラジオの朗読番組が増えました。朗読ファンとしては嬉しいことです。


増えた朗読番組

1.NHKラジオ(R-1) 「朗読」の復活

2021年度をもって定期放送を終了したのですが、1年で復活しました。
以前はR-2で週5回(月曜から金曜)15分番組だったのが、R-1で週1回(土曜日)15分放送になっています。

4月は山本一力「西應寺の桜」、読み手は俳優の渡辺いっけい

*「朗読の時間です」で始まるので、番組名は「朗読の時間」だとずっと思っていましたが、番組名は「朗読」だそうです。


2.NHK-FM 「朗読の世界」

「朗読」の代わりに平日の定期放送として始まったのが、NHK-FM「朗読の世界」(月曜から金曜 午後9:15 - 9:30)です。

4月は高村薫「地を這う虫」より3篇

・愁訴の花
・巡り逢う人びと
・父が来た道

読み手は、俳優の上川隆也


3.TBSラジオ深夜特急 オン・ザ・ロード

2023年4月〜9月 毎週月〜金曜日 23:30~23:55

原作は、もちろん沢木耕太郎
読み手は、俳優の斎藤工


2023年4月から37年前、1986年5月に1、2巻が発刊され、「バックパッカーのバイブル」として、日本中の若者に愛される「深夜特急」を完全朗読で放送。 読み手は、本作の大ファンでもある人気俳優・斎藤工を起用。
「新たに、自身の生きる道を選択する人」を徹底サポートします。

 

 

www.tbsradio.jp

 

www.shinchosha.co.jp



*「深夜特急」は私も新潮文庫で全6巻を25年以上前に読みました。
Amazon Prime 会員であればいま放送中の「深夜特急 第1巻 香港・マカオ」が無料で読めます。

 

*今こうして朗読で聞くと、文章の拙さや当時新鮮だったエピソードが今では…とが感じられます。だが、情熱は伝わってきます。

 

 


「地を這う虫」(高村薫)について

NHKの朗読番組がパワーアップして帰って来ました。
番組が増えただけでなく、以前は多くが著作権の切れた青空文庫にある作品だったのが現代作家の作品が取り上げられています。

そのなかで、NHK-FM 「朗読の世界」で「愁訴の花」(高村薫:作 「地を這う虫」のなかの短編)を聞いたのですが、最後は「えっ、これで終わり?」という感じで終わってしまいました。

私は、気になって「地を這う虫」を図書館で借りてきて読んでみました。

で、わかったのは、後半の展開が違うのですね。

番組では、わざわざ文春文庫2017年第15刷版使用と何度も断っています。
私が読んだのは、1999年発行第10刷の単行本です。
その間に全面改訂されていたようです。

しかし、刑事が妻を殺害した動機の説明や「愁訴の花」=リンドウの関わりであったりが、改訂前の方が良いというか、少なくとも話がつながるように思いました。