還暦過ぎても

還暦過ぎても、心は少年のまま…

相続税では夫婦平等でない・・・ 名義預金とされることについて

私の両親はともに90歳を過ぎて、特別養護老人ホームのお世話になっています。

近い将来に備えて、相続に強いと称する税理士を兄弟で2軒ほど回りました。

 

そこで気になったのは、夫が外で働いて、妻が専業主婦の場合は、妻名義の預金でも税務署には夫の預金とみなされてしまう、ということです。名義預金というものです。

 

私の実家の場合、母は専業主婦と言っても、夫の扶養範囲内でのパート勤めはしていたのですが、その割には妻名義の預金の額が大きいとして、「名義預金ではない」と主張するのは難しいという判断のようです。

 

 

仮に
夫(父)名義で、7,500万円
妻(母)名義で、2,500万円
計 1億円
の金融資産があるとします。

 

家族法の考え方では、結婚後に形成した財産は共有ですから、離婚するとなれば、1億円は折半して、財産分与で妻も5000万円もらう権利があります。

しかし、離婚しないで亡くなると、夫が1億円で、妻が0円とされるのは不平等にしか思えません。

 

そう言ったら、打ち合わせした若い税理士も激しく同意しましたが、現実には仕方がないそうです。

 


相続税計算のシミュレーション

上の金融資産額の例で、子供2人のケースで相続税額をシミュレーションしてみました。

妻の預金が名義預金になるかどうか、また夫と妻とどちらが先かで
相続税額がいくら違ってくるのでしょうか?

なお、金融資産には生命保険が含まれており、500万円×相続人数分は控除されるものとします。


1.夫(父)が先に亡くなった場合で、妻(母)の金融資産が名義預金ではないと認められた場合

1次相続(夫が亡くなったとき)

7,500万円 ー 4,800万円(基礎控除) ー 1,500万円(生命保険控除) = 1,200万円(課税対象額)

 

相続税
妻:600万円 → 0円 (配偶者控除
子1:300万円 → 30万円
子2:300万円 → 30万円
計 60万円を実際の相続分に応じて、納税する

 

2次相続 (妻が亡くなったとき)

妻の財産 2500万円+7500万円÷2 = 6,250万円 *
6,250万円 ー 4,200万円(基礎控除)= 2,050万円

 

相続税
子1:1,025万円 → 103.8万円
子2:1,025万円 → 103.8万円
計 207.6万円 を実際の相続分に応じて、納税する

合計納税額 

60万円+ 207.6万 = 267.6万円

 


2.夫(父)が先に亡くなった場合で、妻(母)の金融資産が名義預金だとされた場合

1次相続

1億円 ー 4,800万円(基礎控除) ー 1,500万円(生命保険控除) = 3,700万円(課税対象額)

相続税
妻:1850万円 → 0円 (配偶者控除
子1:925万円 → 92.5万円
子2:925万円 → 92.5万円
計 185万円を実際の相続分に応じて、納税する

 

2次相続

妻の財産 1億円÷2 = 5,000万円 *
5000万円 ー 4,200万円(基礎控除)= 800万円

相続税
子1:400万円 → 40万円
子2:400万円  → 40万円
計 80万円 を実際の相続分に応じて、納税する

 

合計納税額 

185万円+ 80万円 = 265万円

 

 

3.妻(母)が先に亡くなった場合で、妻(母)の金融資産が名義預金ではないと認められた場合

1次相続

2,500万円は基礎控除額以下なので、相続税は発生しない。

 

2次相続

夫の財産 7500万円+1250万円= 8750万円

8750万円ー 4,200万円(基礎控除) ー 1,000万円(生命保険控除) = 3,550万円(課税対象額)

相続税
子1:1775万円 → 216万円
子2:1775万円  → 216万円
計 432万円 を実際の相続分に応じて、納税する

 

合計納税額

432万円


4.妻(母)が先に亡くなった場合で、妻(母)の金融資産が名義預金だとされた場合

1次相続

1次相続というか、相続は発生しない。

 

2次相続

夫の金融財産 1億円

1億円ー 4,200万円(基礎控除) ー 1,000万円(生命保険控除) = 4800万円(課税対象額)

 

相続税
子1:2400万円 → 310万円
子2:2400万円  → 310万円
計 620万円 を実際の相続分に応じて、納税する

 

納税額

620万円

 

感想

シミュレーションなので大雑把な計算ですが、夫と妻どちらが先かで、相続税額が350万円以上も違ってくる、ということに驚きです。

 

また、妻の預金が名義預金とされるかどうかで、妻が先に亡くなる場合、相続税額が200万円近く違ってきます。

 

私の母親は、外で働くのが好きな人で、稼いだお金で孫娘2人の晴れ着を買ってあげたり、お墓(田舎なので立派なものを作る)の代金をポンと半分出したりしてましたが、自分で稼いだお金の通帳と夫からもらうお金の通帳をしっかり分けなかったのが良くなかったと思いました。

 

もはや手遅れですが、相続税対策をしておけば良かったと思います。

 

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