前々回紹介した「NHKが悩む日本語」(NHK放送文化研究所)2023年4月刊から3題。
1.女人禁制 の読みは?
四文字熟語のうち一般に誤読されることが多い「ことば」がクイズになっていました。
「同行二人(どうぎょうににん)」とか「老若男女(ろうにゃくなんにょ)」とか私も「知ってる知ってる」と思って進めたのですが…
1問だけ間違えたことになったのが、掲題の「女人禁制」です。
「にょにんきんせい」と長らく思っていましたが、「×」で、正解は「にょにんきんぜい」と濁るようになっています。
おー勉強になった、と思ったが、なんだか腑に落ちない。
ネットで見ると、「きんぜい」でも「きんせい」でも、どちらでも良いという意見ばかりです。
第一問題なのは、PC(Microsoft IME)で「にょにんきんぜい」と入力しても変換しないぞ!(Google 日本語入力は変換しました)
2.「バイオリン」か「ヴァイオリン」か
外来語は、元の言葉が「b」音「v」音かに関わらず、日本語では「b」で発音するということで、NHK的には「バイオリン」だそうです。
ただし、原音に近く書き表す場合にだけ「ヴ」を使うということで
例として、ヴィヴァルディが挙がっています。
とはいうものの、私の感覚としては、最近はやたら元が「v」なら「ヴ」を使っている例が多いようです。
例えば、CDの表記だと「バイオリン」ではなく、ほとんど「ヴァイオリン」ですよね。
「ベルサイユ」もNHK的には「ベルサイユ」ですが、ネットを見ると「ヴェルサイユ」としている方が多いようです。「ベルサイユのばら」くらいでしょうか。
3.大舞台 の読み方の変遷
もちろんNHKの読みが絶対正しいわけではありません。また放送局によって読み方が違うものもあります。
それにNHKの方も、一般の読み方が多数になってくるとそれに合わせることもあるようです。
「大舞台」は、もともとは「おおぶたい」(古典芸能から来た読み方)でした。
が、8割の人が「だいぶたい」と読んでいたことから、1993年に古典芸能の場合を除いて、 晴れの場・活躍の場という意味での「大舞台」は優先して「だいぶたい」と読むようにしました。
ところが、その後「おおぶたい」が正しく「だいぶたい」は誤用だという意識が一般に広がったため、NHKのアナウンサーが「だいぶたい」と読むと、問い合わせが来るようになったそうです。
そこで2005年に、また元の「おおぶたい」に戻した、ということです。
たしかNHKが「だいぶたい」に変更した後も、日テレやTBSのアナウンサーが「おおぶたい」が正しいということを放送で言っていたと記憶していますので、それを聞いていた視聴者がNHKに問い合わせたのだと想像します。